アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

竹中労『聞書 庶民烈伝 (上) 牧口常三郎とその時代』


 もうすぐ、6/25発売だそうです。オレは絶対買います。
 この本のことを知ってから、ずっとずっと(もう15年くらいかな?)読みたいと思っていました。図書館でもさがしてみたのですが、なぜか見つからず。*1
 この本の再販の話も、90年代末頃から知ってたんだけど、こんなに遅れてしまったのは、まあ、いろいろ大人の事情があったのであろうと勝手に推測。たしか当初は某皓星社さんで出版するはずだったんじゃなかったかな…。


 で、本書の内容については、上記のとおりまだ読んでないのでニントモカントモなのですが、概要はよくわかっているです。牧口常三郎についての聞書(ルポルタージュ)です。
 では、牧口常三郎って誰?ってことになるんですが、これがすごく説明がむずかしいのですよ。一口に言うと、創価学会の前身にあたる創価教育学会の創設者で、現創価学会でも初代会長とされている人物なワケです。
 こんなふうに説明しちゃうと、どうしても今の創価学会を思い浮かべちゃうと思うんですよね。例の頭がパーン動画あたりでしか創価学会を知らないヒトも多いワケじゃないですか、今や。
 でも、そもそも今の創価学会とは若干オモムキが違っているワケです、牧口が創価教育学会を設立した際には。なんせ戦前ですからね。えっと、昭和5年に設立なワケですよ。西暦で言うと1930年。
 もともとは「牧口独自の教育論に基づく教育改革の推進を目的」とした、教育者の団体だったんですよね。その後、なぜかこの後日蓮正宗の在家の信徒団体となっちゃう。おそらくこのあたりの遍歴にも、この本触れちゃってるんじゃないかと思うんですよねー。
 でまあ、念のため、この本を読むに当たっての近代日本史の復習を書いておきますので、参考になさっていただければ幸いです。


 まず、覚えておいてほしいのは、敗戦が昭和20年(1945年)ってことです。まあ、これくらいは知ってるよね?
 でもね、近代史やってる人でも、いわゆる今の常識ってのに縛られてる人が多いので念のために言っておくのですが、いわゆる高度経済成長(昭和36年〜45年頃、でいいかな?)の頃に登場した三種の神器、すなわち、テレビと冷蔵庫と洗濯機ってのはもちろん当時はありません。それらがない生活を、ぜひ想像してみてください。
 ちなみに日本でラジオ放送が始まったのは、大正15年3月。当初はともかく大衆文化の成熟と共に、主に浪曲や講談がメインコンテンツとして大衆に親しまれたワケです。このあたりを考慮して超名作『はだしのゲン』の浪曲シーンを読んでいただくと深みが増すを思われ。また、映画は大衆の娯楽の王道として君臨していました。日本的な展開として、いわゆるチャンバラ時代劇映画があります。このあたりについては、橋本治完本チャンバラ時代劇講座』を読むとより理解が深まると思うよ。映画をはじめとする大衆娯楽全般を扱っている、ほぼ唯一の本なので、そっちの研究をしてたりする人は必読です。*2


 ついでに言っておくと、牧口は柳田國男とも交流があり、日本民俗学会がまだ民間伝承の会だった頃に、いっしょにフィールドワークなんかもしていたようです。*3
 もうひとつ。戦前の常識では、日蓮は右翼の拠り所のひとつでした。創価教育学会設立当時のエピソードとして、後ろ盾が某右翼団体だったとか、右翼勢力との交流についての指摘があります。
 牧口は地理学者ですが、その先輩格というか出版に当たっての恩師というべき人物に、志賀重昂がいます。ググっていただけばすぐにわかるかと思いますが、1894年に出版した『日本風景論』で知られるバリバリの右翼のヒトです。ちなみにこの『日本風景論』をめぐって、しばしば議論があったりしますので、要注目しておいてください。


 念のため。当ブログのコメント欄への創価学会員のあからさまなプロパガンダ折伏、議論を禁止します。まあ、する人はいないと思いますが。メールもそういった類のものには返信しません。ご了承ください。


*1:学会員の陰謀説なの?

*2:個々のマニア的な研究はあっても、全般的な研究は本当に稀です。。。

*3:ソースは各自ググってください。さすがにめんどくさいので。