アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

藤村真理『学級×ヒエラルキー (マーガレットコミックス)』『少女少年学級団 1 (1) (マーガレットコミックス)』

少女少年学級団 1 (1) (マーガレットコミックス)
藤村 真理
集英社
おすすめ度の平均: 5.0
5 小学生の友情と恋ってすごい
5 野球少女のススメ★

 藤村真理さんのマンガは、実はこれまで全然チェックしていませんでした。
 きっと最後に読んだのは90年代前半の『最上階ロマンス』あたりかと。印象としては、別マの中堅どころのヒトってカンジ。
 ただ、『最上階ロマンス』にしても、アイデアのぶっとび方と、それを作品的にキチンと着地させる力技というんでしょうかね、そういう力量はあるヒトだと思ってましたし、その分の甘さみたいなものが、逆にこれまでチェックをしてこなかった理由というか。
 今回、版元の集英社が単行本2冊同時発売ってなキャンペーンをしなければ、正直全くチェックをしなかったでしょう。


 最近の少女マンガ界は、やれドラマ化だの、やれアニメ化だのと、ネタの切れたテレビ界にいいようにネタ元にされててですね、まあそれはそれで、商売上しょうがないのかもしれないんだけど、何か見失ってはいないかい? とか思ってました。
 電車に乗っても売れる作品を手堅く広告するだけ、みたいなさー。いやいやいやいや、もっと広げてこうよ、広告も媒体でしょ、活用しようよ、みたいに思ってたんで、読者人気が高かった結果とは言え、中堅どころの作家サンにスポットが当たって、ちゃんとキャンペーンをされたことが、ちょっとうれしかったです。


 で、肝心の作品ですけど、まず『学級×ヒエラルキー (マーガレットコミックス)』はね、表題作はおもしろかったです。作者サンが、はじめてプロットを切ったってのをあとがきだかでこぼしてて、逆に驚いた! い・今まで切ってなかったんですか…逆にスゲー!!!みたいなwww
 小学生の世界に階級格差を持ち込むというアイデアもさることながら、そのサヨクっぽくなりそうな題材を、全くサヨク臭のない作品として消化しちゃうのがとても好ましいと思いました。サヨク臭くなると、きっと全く面白くなくなってたと思うんですよねー。*1
 たとえば、この作品を元にして、どこかの小学校で舞台にするとかっての、全然アリだと思うし、そうなったらすごく見てみたいなあー。*2


 もう一冊の『少女少年学級団 1 (1) (マーガレットコミックス)』についてですが。
 こちらはね、男の子みたいな女の子で、しかも野球少女が主人公なんですけどね、なんていうのかな、昔の小学館の少女マンガを彷彿とさせるキャラ設定、とでも言うのか。なんか読んでで懐かしいカンジがしました。でも、ちゃんと新鮮に響いてきた。
 登場人物のキャラがみんなちゃんと描き分けられてて、それぞれに立ってる。構成もキビキビしててムダがない。うまいなーって思いました。イジメの描写とかもキッチリ描けてると思った。まあ、あんなもんじゃねえーYO的意見もあるでしょうが、あの作品ではアレで充分でしょ。
 あと、ところどころというかコマ割含めて、多田かおるっぽいテイストがあるよね。裏表紙とかモロだしwww アシスタントさんだったのかな?
 ちょっと影のある年上の男の子、その下にいる素直な(でもワガママな)弟キャラってのは、もろに多田テイストで、そっち系が好きな人にはド直球だろうねえ。
 一方、天然系短髪熱血野球少女の主人公遥ちゃんですが、それなりのシーンもあるのでそっち系が好きなお兄ちゃんたち(いわゆる大きなお友達)もチェックしてみるといいことあるかも、とか言っておく。具体的にはお風呂上りのツルペt(ry


 

*1:片親でしかもワーキングプアってな家庭の子どものリアル貧乏ぶりをもりこんでも今日的になるだろうけど、そういうリアル悲惨をこのテのコメディタッチの少女マンガで見せられても困るです…。「みんな貧乏が悪いんや」ってのに対するアンチテーゼにしても、サヨク糾弾になりかねないしねwwwww

*2:つか、同時収録されてる話がなければ、ウチの娘&姪っ子にも読ませられるんだが…うーんうーん。発情期の女の子の話は、まだ小5には早いと思うんですよ…。