アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

娘が遊びに来ているよ。

 娘を迎えに行く道は吹雪いていた。国道沿いの歩道、街路樹は葉を落として裸の枝を震わせている。街灯に照らされて、済んだ空気に美しいシルエットをかたち作っている樹々たちのまわりを、粉雪たちが上へ下へと舞っている。
 いつも、娘に逢う前はナイーブになる。逢ってしまえばウキウキなんだけど、逢う前と別れた後は、いつもちょっとシンドイ。軽いめまいの直前のような、妙なテンションで張り詰めた気持ちがそうさせるのか。
 逢えば娘は今日も笑顔で、ぼくと逢えてとてもうれしそうだった。二人でスーパーへ行き、太巻きを買った。2本入り。今日は節分だ。家へ帰って、いっしょに食べた。今年の恵方は南南東。娘が半分ほど食べたところで、ぼくは食べ終わっていた。食べてる間はしゃべってはいけないので、ぼくもいっしょに黙ったまま、彼女が食べ終わるのを待った。ずっとずっと、二人とも笑顔だった。
 娘は最近マンガが読めるようになった。なので、家の中のマンガをいくつか読ませてあげることにした。まずはおおばやしみゆきセンセの『いっちゃえマリンちゃん』。ヘンなテンションのかわいらしい小品*1。ウチの娘はちゃお派なので、さすがにおおばやしセンセは知っており、むしろファン。本当に楽しそうに読んでいた。
 しかし最近は雑誌の乗換を検討中のようだ。最近の連載陣の低迷に加え、おおばやしセンセがちゃおからChuChuへ移動、何よりなかよしでの「シュガシュガ」連載を読みたいらしい。だので、4月から「きら☆レボ」アニメ化を知らせ、もうちょっとちゃおでもINじゃない?アピールをしておいたのだった*2
 マンガに夢中の様子なので、試しにさべあのまネバーランド物語』を渡してみる。おお、興味をもったようだ。下の挙げるのは文庫版のほうだが、ぼくが持っているのはハードカバー版だ。今でも時々読みかえす、大好きな一冊だ。

 彼女がそれを読んでいる間、テレビで『ナウシカ』をやっているのでそっちを見ていた。もちろん読みつかれて彼女はだんだん眠くなってきていた。「おやすみ♪」と抱っこをせがむ。むかしから、こういうハグの大好きな子だった。抱っこしてやると落ち着いたのか、ふとんにもぐりこむ。普段と違うからか、なかなか寝付けぬ様子だったが、ナウシカ王蟲の群れに囲まれて復活する頃には、安らかな寝息をたてていた。かわいらしい寝顔。
 今そんなふうに、ぼくと娘はすごしている。




*1:コメディとしてかなり笑えておもしろいんだけど、破綻なくまとまりすぎている感がありまくりんぐ。小品というのはそういうことです。

*2:つかオレは小学館工作員ですかそうですか