アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

いくえみ綾『バラ色の明日』1巻・2巻(集英社文庫)

 さて、ひさびさにいくえみネタです。超名作にして今のところのいくえみ代表作と言えるであろう連作短篇オムニバス『バラ色の明日』が文庫化しますた。もちろんマーガレットコミックス版は持っているのですけど、今回は改めて買っちゃった。おまけページ「バラ色スケッチ」*1もついてるし…。いくえみLOVEな中年、それがワタシです…って自分で言っててビミョウ…_| ̄|○
 例によって、いくえみ綾 作品データベース↓もご参照ください*2
 http://f41.aaa.livedoor.jp/~kiyo/index.html


バラ色の明日 1
バラ色の明日 1
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いくえみ 綾
集英社 (2005/07/15)
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 なんといっても1巻の場合、2話「巷に雪の降る如く」の続編である「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」が同時収録となっていることでしょ。今までは別々の単行本に入ってましたからねー、これで友人に貸しやすくなるってもんです。いや、当分誰にも貸さないけどサ(笑) ちなみに上記2作は2ちゃんのいくえみスレでは大人気、泣ける名作です。
 で、それとは別に表紙ね。3話「fight!」のユキちゃんズ二人が表紙を飾っているわけですけど、この作品、ビミョウに人気ない…というかぶっちゃけ嫌っているヒトが多いんだよねー。ほら、暴力男に惚れちゃう女の子って、いるじゃん? そういうモチーフを描いてるんですよね。えっと、たぶん『愛があればいーのだ』のるみさんのエピソードを、ちょっと膨らませて構成しなおしたものだと思うんですよ。
 なんで人気ないのかと考えると、まず「女に暴力をふるう」っていう道徳的嫌悪があると思うのね。それと、男の子のユキちゃんの自分勝手さ。うへ〜、こんな男の子キライ!っていう生理的嫌悪感なんでしょうね、キライなヒトって。でもさー、これも趣味の話になっちゃうけど、だからこそこの男の子イロケがあるワケで。るみさんと永田さんがどうしてくっついたのかって、きっとこの作品的なアレだと思うんですよね〜。


バラ色の明日 2
バラ色の明日 2
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いくえみ 綾
集英社 (2005/07/15)
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 で、2巻なんですけど、こっちの表紙はナナちゃんなんだよねー。「イチナナ話」と呼ばれている、イチという男の子とナナという女の子の双子をめぐる連作。これは4話と5話と続いているんだけど、この5話が長いのね。長いんだけど、イイ話なんだよねー。ちなみに4話は1巻収録っす。イチナナとは別にカブとシャブっていう男の子たちが出てくるんだけど、この二人がすごく好きだな、オレは。この二人が好きだから、この二人を置いてけぼりにしてイチナナ話マンセーする人はあんまり好きじゃないです…でもそういう人多そうだ…。
 で、6話「初恋の殿堂」なんですけど、これは2ちゃんのスレでは岡崎京子『初恋・地獄篇』(『恋とはどういうものかしら?』収録)を意識して描かれているのでわ??と話題になってました。言われてから読み比べを何度もしましたが、たしかに物語や構成は似てるねー。でも「ストレートな女の子にタジタジになって逃げてしまう男の子」という岡崎センセに対して、いくえみセンセのは「幼なじみというこれまでの関係がある故かくしてる気持ち(Sッ気まじり)」という決定的な違いがあり、それはすなわちこの二人の巨匠の違いでもあるように思えますなー。あと、作品的にも広末人気のピークでありこの後はビミョウに下火になりはじめる97年末に描かれているところがポイントと言えましょう。


 3・4巻が発売したら、またとりあげますね〜。

*1:いくえみ綾プチインタビュー他、まホントにおまけなページ。イイ線ついてはいるんだけど、いかんせんページ数が少ないナリ。もっと豪華な解説を誰かに頼んでも良かったように思うんすけどねえ…予算なかったんですかねえ…。

*2:まとめページ管理人様、いつもお世話になっております。