アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

いくえみマラソン その2

 うーん、昨日は「マギー」一作だけで終わってしまって、ちょっと反省。だって、一作だけじゃ、ちっともマラソンじゃないじゃん。せいぜいジョギングか。
 2ちゃんのいくえみスレをいつも楽しみに見ているんですけど、いや、もちろんたまに書き込んだりもしてるんですけど、そこで前期/後期という単純な分け方をしててね、もうちょっとあるだろーとか思っちゃったんですよね〜。もうちょっと、フクザツにしたほうが楽しいしわかりやすいんじゃないかとね〜。今日はそんなのをちょっとやってみましょう。需要があるとも思えないけど(笑) ま、自分の日記なんで、やりたい放題っすよ〜。今回も参考はここ、2ちゃんのいくえみスレまとめサイト。管理人さん本当に乙です! 勝手にリンク貼ってます!

デビュー以降

 まずね、デビュー作「マギー」は、まあ彼女がマンガを描く動機みたいなもんですよ。ああいう女の子をひとまず描きたかった、と。んで、じゃあ2作目からどうなるかっちゅうと、そりゃもう編集者のいいなりで学園ラブコメの読み切りを描かされるんすよ(笑) ああゆうデビュー作のコにいきなり学園ラブコメちゅうのもどうかと思うけど、そこは別マですからねー。キビシイ世界ですよー。
 それでもいくえみなりのテイストは入れてます。当時でいうといくえみ的にはキヨシローとマッチ、それにイギリス趣味ですから、男の子がそれふうだったりします。インディーズとかライブハウスとか、80年代前半の宝島なノリってのもあると思うけど、ま、このあたりは上の世代の証言がほしいとこっすね。さすがにリアルタイムで読んでないからね〜。

かわいい男の子

 で、初期重要作としてはやっぱり『夢を見た。』あたりかと。まあ、他にもいろいろイイ短篇あるけど、やっぱ重要って意味ではこれでしょ。「かわいい男の子」路線を堂々展開してるってとこで。しかもそれが「勝気な女の子に振り回されるかわいい(ある意味たよりない)男の子」だったりすると、こりゃもうね〜。
 で、コレ以降は基本的に単行本2冊の人になる。『以心伝心のお月さん』はインディーズ映画やロックミュージシャンを取り上げた、まさに80年代前半の宝島的作品。映画でいうと『狂い咲きサンダーロード』あたりの撮影風景を想像してしまうんですけどねー。これの主人公も「かわいい男の子」路線で、このへんはおそらくイギリス趣味、とりわけカルチャークラブのボーイ・ジョージあたりからインスパイアがあったんではないかと勝手に想像しておりますが、どうなんでしょ。ニューロマとか、ファンカラティーナなノリっちゅうか。
 で、続いての『エンゲージ』は今も根強いファンが多い名作。ラスト、主人公の複雑な気持ちの描き方のテンションですよ。でまあ、いくらなんでも「かわいい男の子」をイノセントに描きすぎてこれじゃ全然リアルじゃないじゃん、まるっきりガキ(・ё・)クサー的な反省からか、「いいかげんな男の子、ゆえにイロケ有」てな『うたうたいのテーマ』を描くのであります。イノセントは女の子に戻ります。

女の子のイノセント

 デビュー作「マギー」もそうだけど、いくえみ世界のコンポンちゅうのはですねぇ、「孤独な女の子のイノセント」だと思うんすよ。だからわかってくれる存在としての、同じイノセントを共有する「かわいい男の子」が必要で、そういうキャラが発明されていったと。しかし、リアル男子の研究の成果かどうかはわからないけど、もうちょっと男子ってこうみたいっていう部分をちゃんと描くようになる。この時期のいくえみは、まとめればこんなカンジでしょ。
 『わたしは夢みる少女』にしても『君たちはガラス』にしても、もうタイトルから「女の子のイノセント」だもんなぁー。で、共有相手の「かわいい男の子」はどうなるかっていうと、この世に居場所をなくしてしまうのでした…。そのあたりを封じ込めたのが単行本書き下ろしという荒技で発表された「15年目」です。単行本『君たちはガラス』2巻に収録。
 次作『天然バナナ工場』で、いくえみは自分たちが確かにイノセントを共有できた時間を描こうとします。共有できないと結ばれないのがいくえみ世界のコンポンその2なのです。でもやっぱり男の子のイノセントは、ある部分は共有できるけど、ある部分は永遠のナゾになってしまう。で、そのあたりのすれ違いをググっとクローズアップして、あの超!名作である『POPS』が描かれるワケですな。


 続きはまた明日〜