志村志保子『ミシンとナイフ』
おすすめ度の平均:SOSを読みたくて
静かな世界
先日、メガネを買いに行ったんですよ。東三国にあるウワサの激安メガネ店。ウワサにたがわず度入り3本1万円ポッキリという、すばらしいクオリティだったんです。ま、それはそれでそれなりにうれしかったんですが、安いときいていて評判どおりなので、正直、ま、こんなもんかと。
で、こっからが本題なワケですが、その帰り道に、フラリと古本屋さんに立ち寄ったワケです。ええ、もう皆様お察しのことでしょう。この幻の単行本とやっと出逢えたのです。
思えば長かった!
志村志保子さんのことは、まだ「ぶーけ」誌があった頃には知らなかった。知ったのはつい数年前、某巨大掲示板のいくえみスレで、いくえみ以外に読んでる作家は?てな話が出た時に、何人かが挙げていたのが志村さんだった。全然知らない名前だったから、驚きと期待に震えながらすぐに調べましたよ。『女の子の食卓』の1巻が出た頃だったと思います。すぐに買って、たしか、このブログでも感想書きました。
で、機会があれば、古本屋でさがしました。ただ、血眼になって何軒も古本屋をハシゴするっていうんじゃなくって、さりげなく時間がある時にマーガレットコミックのコーナーをチラミするってカンジで。なんていうか、そういうもんでしょ?
とか言いつつ、そうじゃないような文章にしたくて、こういうふうに書いてはいるんですけどね? なんていうか、決定的に文系女子でないとわからない内容を含む作家さんなワケなのですが、文系女子の選民アイテム的切り札として使われちゃうのはちょっとなあーとか、もちっと下世話に楽しんでもよくね?とか、思うワケです。
できれば、もっと売れてほしい作家さんなんですよね。そうすれば、この単行本だって、幻ってことでAmazonのマーケットプレイスあたりで1800円なんていう値段で売られちゃったりすることもなく、単行本未収録含めた初期作品集1000円くらいで出してくれるかもしれないしさ。*1
オレ的には地味萌えなんで、たとえば表題作のサチコちゃんなんて直球なんですよねー。そんで、ミニシアター的な緊張感がたまんねーってカンジなんですよ。クライマックスの見開きとかもうね! おっとそうきたか的な巧さが見え見えだったりもするんだけど、なんかちゃんと胸に響くというか。*2
あ、もうちょっと具体的に言ったほうが良いんだろうね。あのね、テーマを是が非でも伝えたいとかっていう作風でないことは読めばわかるでしょ。でも、ふいんき(ryな作風ってワケでもないじゃないですか。難解ってのとも違う。ちゃんと胸に響いてくるじゃん?
それでいて、余韻の部分、行間でかなり幅を持たそうとするんだよねー。収録されてる短編でいうと「猫ノ夜ノ夏ノ」のラストとか。それでいて、その直前の、一気に人と人の距離の縮まる一瞬の緊張感の実に巧みなこと!
ま、表題作にしても「ガーデン」にしても、人と人との距離の縮まる緊張感(性的な意味で)ってのがメチャ巧い。というか、エロいっす(*´д`*) ハァハァ
そこを家族の領域で描こうとした児童文学が「即興動物園」という説。
まあ、単にやっと買えた、読めた、ジーンときたコレ!っていうだけなんですけどね? こういう話ができるリアルな友人がほしいなあ…_| ̄|○