矢沢あい『NANA 13 (13)』
島根でのんびり夏休みを過ごしていた時に、娘&姪が「ちゃお買って〜♪」とせがむもので、義弟の妹さん(現役女子高生♥)に道案内を頼み地元のショッピングセンターへ。これが、ちょっとした小旅行だったんですよー。
というのもですね、お世話になったとこは山の上なワケです。ほぼ頂上。あたりにはなーんもお店なんてない。バスに乗って街まで出なきゃイカンわけです。しかも、ここから降りてってバス停まで行くのは、大人でも徒歩で30分以上かかるだろってレベルなんですよ。
いろいろ相談した結果、おじいさんの軽トラの荷台にぼくと娘&姪が乗り込み送って頂いたのだった。ありがとうございます! なかなかできない体験*1に子どもたちも瞳がキラキラ☆ 楽しそう♥
よく晴れた日で、歩くと汗ばむ。バス停は、ひなびた商店街の中にあった。古い長屋作りの建物が軒を並べ、看板建築で西洋風にしている懐かしいカンジとこや、建て直したばかりであろうこれまた懐かしいカンジの洋館風建物(たぶん郵便局かなにか、だと思う)。道路脇の水路には透き通った水がさあーっと流れている。あんまり水がキレイだから、姪が「飲んでもいい?」なんて言い出す始末。ダメダメ! だってふつうに考えたらドブじゃんwwwww
バスが来て、ぼくら4人は乗り込む。バスは山あいの道を走り、トンネルを抜け、川沿いから別なひなびた商店街を縫うように走る。容赦ない大自然が止めどもなくひろがっているのだった。あまりの陽気についつい眠気が来てウトウト。
目的のショッピングセンターへ。スーパーマーケット+衣料品売り場+100均ショップ+ちっちゃい本屋+喫茶スペース+パン屋。うひゃー、田舎のリアリティ満載! こういうシチュエーションたまらん。子どもたちそっちのけで本屋の棚をチェックチェック! さすがにコミックスは品揃えがアレで、マイナーなものは一切置いていないっす。お、でも一応新し目のいくえみ単行本はあるなあー、ヨカヨカ。
ん? おお、もう出てるじゃん!…というワケで、買ったのですよ──『NANA』の13巻。こういうイナカでも買えるのが大メジャーのイイところっす。あ、もちろん娘&姪はちゃおをそれぞれ1冊ずつ買いました。別々なものを買えば、それぞれ見せあいっこできるのに、アフォな子どもたちだよ全くwwwww*2
さて、前置きが長くなりました。もうすぐ映画も公開だし、ホント矢沢はビジネスうまいっつーか、やるよねえ。この人はメディアミックスと相性がイイ。そうそう、パラキスもアニメ化だそうで。一気に商品化していくな。しかし、ここらが頂点というカンジは正直否めない。
もともと洋楽的にメロコアやスカコア、邦楽的にジュディマリあたりを聴いていたような服飾系or美容系専門学校生がメイン読者層であった90年代中期あたりのZipper誌で連載されたパラキスだから、これのアニメ化はハッキリ言って5年は遅い。このテのノリの二番煎じ三番煎じあたりがいわばオレンジレンジなワケですが、この層とリンクすれば一時的には売れるけど、もっとも飽きやすい層だからあっというまに消費されまくりんぐ必至なワケですな。
で、実際モンダイとしてメロドラマで転がして長引かせる手法のローリングビジネスに走っている矢沢に対して、一部の読者は明らかに引いているですよ。「一応読んでるけど…」っていうのが語る時の枕詞と化している悪寒。映画が話題になるのは間違いないけど、そこで「もういいや」と思う人が多数出ると予想されるワケで。
そういう消費社会分析は置いといて(つ´∀`)つ、作品としてはですね、ぼくはかなり好きなんですよー。いや、だってさー、普通の少女マンガとかだったら「3年後」というナレーションでいきなりすっ飛ばして描いてゴーインなラストに持ってたりするじゃん。そういうの一切ナシで、ちゃんと時間経過や、こまごまと起こる事々や、ソレに対する主人公の心理描写なんかをキチンとじっくりていねいに描いてる。たしかに脇キャラにまでエピソードを広げすぎてとっちらかってる感があり、読みにくくなっている部分もあるっすよ。でもそれがリアリティになってないですか?? ぼくらの生きてる現実も、こんなふうにとっちらかってて、ちっとも整理されてないでしょ? そんでそれは、今のこの人気があるからできる表現でもあるんだよ。そこんとこを堪能しようじゃないの。
しっかし本を買ったら他にすることがなくなってしまった。アイスクリームを喫茶コーナーで子どもたちに食べさせ、帰りのバスを待ってすぐに帰るのだった。ショッピングセンターにいたの1時間くらいwwwww
帰りのバスは、子どもたちも妹さんも爆睡だったが、ぼくはニコニコと風景を眺めていた。したたる緑が視界を覆い、川はキラキラと陽を照りかえす。大きなダムや、興味をひかれた美術館。人もクルマも圧倒的に少なく、自然は、ただただ呆れるほどにあふれかえっている。手のひらの中に発売したばかりの話題の最新刊。
それがたった数日前。そんで今日ぼくは、なんばでコップを買った。映画『NANA』の撮影でも使われたというふれこみの、例のイチゴ模様のついたヤツだ。娘と姪がウチに遊びに来たら、このコップでジュースを飲ませてやろうと思っている。