アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

ムーブメントとしての「プリキュア」

 以前にも書きましたけど、基本的に日曜の朝がアニメ&特撮天国となっている背景ってのは、親が楽するためです。子どもをテレビに釘付けにしておいて、その間に朝ご飯を作ったり、寝坊したり、掃除や洗濯をしたり、出かける準備を進めたりするためです。子どもが夢中になればそれでイイので、内容については子どもに対して悪影響になるようなものでなければ何でもかまわないワケです。同じような理由で、夕方7時前後の時間帯というのも子ども向け番組のゴールデンタイムですよね? 「テレビ世間」ではいわばこれは常識と言ってさしつかえないでしょう。
 つまりまっとうなオトナなら、こんな子ども向け番組は見ていないワケです。もとい、世に「まっとうなオトナ」とカテゴライズされるような方、というべきでしょうかね? たいていの親は、子どもといっしょには見ていないのではないかと思います。
 こないだプリキュア映画化しましたけど、会社で同じ年頃の子どもを持つ方とお話ししましても、いっしょに映画に行ったけど眠ってしまって内容を覚えていないと仰ってましたから。
 今プリキュアは2年目がスタートして、2クール目に突入しています。去年から一年、小さいお友達たちは、日曜の朝を楽しみにしてずーっと見てきたのです。今も楽しみにして、ずーっと見続けているのです。バンダイの調査では、保育所・幼稚園児〜小学校低学年の子どもへのアンケートで、大きくなってなりたいものの第一位はプリキュアという結果が出ています。子どもの70パーセント以上がそう答えているのです。男女別ではありませんよ。男女混合での結果として70パーセント以上なのです。そのくらい、今の子どもたちにとってこのアニメはデフォルトなのです。
 そういったデフォルトのアニメを、親の世代はほとんど見ていないのです。見ているオトナは20代〜30代の男性、いわゆる「おたく」と呼ばれる方々です。ぼくもおそらくカテゴライズとしてはここに放り込まれることでしょう。それは別にかまいません。番組自体もそれを見越して、メインターゲットとして「おたく」を考えいますし、それ向けにスポンサーサイドでもフィギュアなどの商品を用意しています。
 ただ、番組サイドも親の世代を全く意識していないワケではありません。こないだ放送された13話については、母の日を前に母親との関係を見直すような内容を盛り込んだ話に仕上がっていました。このあたりについてはid:dokoiko:20050501やid:s-takee:20050502での考察をご参考になさってください。
 というわけで、もしもムーブメントになるとしたら、放送から10年20年たって、1stガンダムくらいの評価があれば可能ってカンジなのではないかと思うのです。つまり、革命はまだ始まったばかりということです。番組は、ひかりの成長を通して「疎外論」という現代を考える上での最重要課題までも盛り込む内容になっています。もうここまできているのです。
 ここまできているのに、ああ、子どもたちはテレビに釘付けにされ、オトナたちはこのアニメを見ないで済ませているのです。断絶は断絶のまま、子どもたちは家の中で、家族の中で、疎外された場所に追いやられているままなのです。どうしてプリキュアが「疎外論」まで取り込まなくてはならないか、ぜひ考えてみてください。って言っても見てもないのにとっかかりもないと思いますけど(苦笑)