福田恒存『日本を思ふ (文春文庫)』
- 作者: 福田恒存
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/05
- メディア: 文庫
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フォースターは、あらゆる信念を狂信として憎むが、もしお前は何を信じてゐるかと問はれれば、それは人と人との結びつきだと答へている。それは人類とともに古めかしい。人は、たとへそれが真であることを認めたにしても、そんなことを言つてみてどうなるか、どうしたらいいのか、さう応じるであらう。方法論はない。当たりまへである。めいめいがやることだからだ。が、方法論が見つからぬからといふのは、それを無視する理由になるか。それゆゑにそれは価値がなく、進歩が価値であり、能率が価値であり、自由や平等が価値であると言へるか。どうにもしやうがないから、それはさておいて出来ることをするといふ。それはよい。が、やがてそのうちに、それで何でも解決できると思ひあがりはじめたのが、現代における進歩主義の迷妄ではないか。人と人との結びつき以外に信ずべきものはないといふ、この単純な真理に、わたしたちはもう一度、立ちかへるべきである。*1
リアルでぼくを知ってる人が見れば、何を言ってるんだという内容でしょう。人とうまくいかないことばっかりですからねえ、ぼくは。それでも、この引用箇所はぼくの心に強く残っているのですよ、ほとんど暗唱できるほど。プリキュアMH第10話のテーマ、「ハーモニー」や「調和」も、この「人と人との結びつき」ってことだと思う。
でも、世の中には「和を乱す」だの「まわりの迷惑」だの「みんなのことを考えろ」だの、それはそれで必要な論理を、ヘンなバイアスをかけて絶対化して語りだし、その結果、個々人を疎外して考えてしまうような人間がはびこっているワケです。せめて自分はそうならぬよう、心がけてゆきたいと思っています。
本日もおそらく残業っす。がんばりまっす!