アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

サン=テクジュペリ『星の王子さま (岩波少年文庫 (001))』

星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

 なんだか読み返したくなって、読んでいます。フレーズがしみるっす。ぼくが持っているのはちょっと古い岩波少年文庫ので、函入ハードカバーっす。昭和46年の34版。

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。(115〜116ページより引用)

 言葉なんかでは、何にも伝わらない。言葉の表面だけでは。ゾウをのみこんだウワバミの絵のように。でも、言葉を使わなければ何も伝わらないね。言葉の後ろ側に横たわっている、意味や感情をつかんでもらわないと、何も伝わらないんだよ。その意味や感情こそ、文学で言うところの「行間」なんでしょう?
 奇跡のように、何も言わなくても通じあえる相手。そんなふうに出逢っても、言葉が逆効果を起こしてしまって、隔たりができてしまうこともあるよ。だから、伝えなくちゃと焦ってよけいに誤解を招いてしまったり、どうでもイイことを早口でまくし立ててごまかそうとしてみたり、逆に誤解を恐れて何もしゃべれなくなってしまったりしてしまうんだよね。
 それでも言葉を使うしかないでしょ? なるべくうまく伝わるように、伝えられない自分をもどかしく思ったりしながら。






 なお、『星の王子さま (岩波少年文庫 (001))』については、塚崎 幹夫『星の王子さまの世界―読み方くらべへの招待 (中公新書 (638))』を要併読でよろです。ヘンなメルヘン解釈で終わりたいヒトにはオススメしませんがね。とにかく読めば『星の王子さま (岩波少年文庫 (001))』がいかに深いモノか見えてきます。