アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

矢沢あい『Nana (12) (りぼんマスコットコミックス―クッキー)』

Nana (12) (りぼんマスコットコミックス―クッキー)

Nana (12) (りぼんマスコットコミックス―クッキー)

 今日発売!…だったんだけどちょっともう遅いっすね。すまそ。ちゃんと午前中には買ってたよ。ページを開いて、最初の扉絵。タクミとハチ公のツーショット、もうそれだけでクラッときた(マジで)
 それにつけても、つくづくよくできた話っすよコレ。今回の内容、実はいくえみ目当てでクッキー(2ちゃんねらーは「茎」と略すだよ)買ってたので、ちょっとだけは知ってたんだけど、それにしてもかな〜り思い切ったとこまで描いちゃってるよね。ネタばらししたくないので、そこらあたりは友達に借りるか、買うか、ま、なんとかして読んでねん♪ これだけ売れてりゃ読んでないヒトの方がめずらしいくらいだけどね(帯曰く累計2000万部だってサ☆)
 じゃあ、今回は『NANA』についてちょっと書いてみましょうか。まずね、ダブルNANAの主人公設定が良いよねー。入り口をふたつ作ってあるから、どっちからでも入っていけるようになってる。ペアの女の子の設定で友情物語というのはプリキュアと同じなんで、けっこう時代が求めてるテーマと言えるのかもね♪(なーんて強引にプリキュアをからめてみたりして☆無理ありまくり…)
 まあ、そう言いながら現在はかな〜りメロドラマ的展開にシフトしているんですけどね。でも、それでも基本は二人の友情物語にあると思う。それを支えているのが例の「あの頃」を懐かしく語るモノローグの存在なんすよね。
 これは、たとえば『ホットロード』で紡木たくセンセも使った手法ですけど、紡木センセが『ホットロード』のほぼ初っ端のみで使ったのに対して(実際はその後も使ってはいるものの、微妙に誰が言ってるのかわかりづらく作ってある)、矢沢あいセンセは繰り返し繰り返し、何度も何度も反復させてるでしょ。しかも、繰り返される度にナゾが解けたり、あるいは新たなナゾが提示されたりする。実際モンダイここいらあたりが物語の一方の推進力になってるっすよ。もちろん語り手はハチ公さね。
 時間のズレが生じさせる感情が加わるから、未来から見た「あの頃」である現在が、とてつもない意味をもってしまう。このあたりの構成力の確かさ、ドラマの見せ方はサスガにウマイよね〜。
 でもさ、「あの頃」の描き方自体は正直「やっぱりぼん出身の作家だよな〜」と思っちゃうのね、ぼくは。だってさあー、たとえば京助淳子のカップルだけど、解説役になりすぎちゃっててねー。京助淳子に限らず、必ず登場人物に解説させるでしょ。わかりやすいように、って配慮なんだろうけどさあ〜。詰まるところ「行間」で読ませるっていう計算はあんまりナイのよね。りぼんだな〜って思う所以ですだよ。
 もうちょっと説明が少ない方がぼく好みなんだけど、そうなるとこんなには売れないだろうな、わかりにくくなるもの。全く人気商売のそのへんの塩梅ちゅうもんは、ホントにむつかしいもんですな〜。