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ワンワン!ワンワンワン!

山本ルンルン『シトラス学園 完全版 (Ohta comics)』

シトラス学園 完全版 (Ohta comics)

シトラス学園 完全版 (Ohta comics)



 またタイトルネタで恐縮だけど、きっと学園モノで『マシュマロ通信』の原型みたいな話だろうなーと思ってた。たとえば『オバQ』と『ドラえもん』と『キテレツ大百科』ってキャラのバリエーションがいっしょでしょ? そういうバリエーション商売なんだろうなと思って買ってみたら、ちょっと違ってた。
 むしろ、ふくやまけいこのハートウォーミングな短篇や、小椋冬美の『天のテラス (1) (講談社漫画文庫)』あたりを連想させるオムニバスで、ルンルンワールド全開!! しょっぱなあたりや併録の初期作品はたしかにちょいショボいけど、「1年分のおかし」あたりからはもう! 一話読むたびに小躍り♪ タマランわ〜☆これ。


 今回は発売されたばっかりの『シトラス学園 完全版 (Ohta comics)』を取り上げてます。発売日をチェックして頂けばおわかりのように、でっきたてのホッヤホヤ。ついさっきなんばのジュンク堂で買ってきたばかりっすよ。テレビ大阪制作・絶賛放映中のアニメ、『マシュマロ通信』の原作者の方の初期作品集です。


 それは去年の夏頃でした。日曜の朝、離婚したために今は別々に暮らしている娘からすすめられた『ふたりはプリキュア』を見終え、ふと、他の子供番組はどうなっているんだろ?と思ってチャンネルを変えたりしていると、なんだかフシギな絵のアニメがやっているではありませんか。日本のアニメっぽくない、アメリカあたりのキャラクター商品のようなカワイイ絵柄に、60〜70年代を基調にしたファッション(なんたってベルボトムがデフォルトだもん♪)。そして、何よりチャーミングなキャラクターたちの魅力といったらもう! ぼくはすっかりトリコになりました。
 すぐに近所のTSUTAYA玉出店へ行き、まだ見ていない回を収録しているDVDを借りまくりました。おもしろい、おもしろい、おもしろ〜い!! ヨーロッパのような街並みのマシュマロタウンが舞台。新聞部の部長にしていっぱしのジャーナリスト気取りのサンデーが主人公。他の新聞部のメンツもキャラが立っていて、ワクワクドキドキ、時々ホロリ。全体的にポワワ〜ンとメルヘンちっく。変にジトジトしてたりなんてことは全然なくて、むしろドライ。なのになのに、なんだかやさしさがあれています。ドライゆえのやさしさ。ここらあたりが、ぼくが『マシュマロ通信』に感じるマイルストーンです。それは他人を知っているってことだと思うのです。
 そんな『マシュマロ通信』の原型というか、原点のような話がいっぱい詰まっているのがこの単行本なワケで、これがおもしろくないワケがないのであります。ワーイ♪