アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

人面兎2ndアルバム『SHINKARON』〜勝手にライナーノーツ〜

 どうも、ワンワンです。
 人面兎くんがこのたびアルバムを出すというので、通販で買わせていただいたんですよ。
 これね↓

 
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 詳細はこちら

 でまあ、ヘビロテしてるんですけど、あれこれ考えてるうちに、これって解説っていうか、ライナーノーツって必要なんじゃね?と勝手に考えちゃったんで、勝手に書きます。
 ごめんね、人面兎の中の人! 以下長文注意!



 そもそも人面兎くんって、ニコラップを知ってる人はみんな知ってるんだけど、ニコラップ知らない人はみんな知らないっていうまさに「知ってちゃオタク、知らなきゃモグリ」(by 抹さん)的な存在ですよね。
 彼がニコラップに来たのは2008年の初夏頃、5月か6月だったかと思う。4曲くらい出したところでいきなり初投稿のTWO FACEくんからDISられてたな。
 ガチ曲がイマイチ受けなくて、ネタ曲で作った「もってけ!ニコラッパー」が妙に受けまくるという、なんとも皮肉なスタートを切ることになる。
 らっぷ犬さんの『頭がwhen they cry』で「ガチ曲がダサいATやナントカ兎」と揶揄されてるのはそういうこと。


 もともとはサイファーなどに参加していたらしい。たしか、中野サイファーを主催していたはず。つまりフリースタイルの素養がもともとある人なんですよ。
 2008年夏、8月にニコラップオフが開催され、そこで初めて兎くんに逢った。向こうはオレのことを全く知らなかったが、快く握手に応じてくれた。長身のイケメンだった。フリースタイルがカッコよかったのを覚えている。


 たしか2008年の9月頃に、1stアルバムである「NOUSAGI SHIT」を配布している。zipアルバムだ。前述の「もってけ!ニコラッパー」をはじめ、ネタ曲率多めの配合になっていた。
 対して今回の2ndアルバム、今度はネット上での配布は一切なしで、オーディオCDのアルバムとして作られている。まあスタジオ録音盤ではないので、飛び抜けて音質が良いわけでもないけど、mp3では得られない程度の音質は確保されているワケで。
 内容も、ネタ曲を排してキラ星のごときガチ曲が並ぶ。きわめてHIP HOP濃度が高いアルバムだと言えるだろう。


 この1年半の間、人面兎くんに何があったのか。コアなリスナーの皆様はすでにご存知だろうが、オレなりにまとめてみると次の2点に絞られると思う。ひとつははしやんとのBEEF、もうひとつはあはんれいでぃおだ。


 はしやんとのBEEFについては、らっぷびとの『鎌鼬』で「面白くも無いらぶれたぁならば言ってやるファック人面兎/俺は、はしやんの方が好き 喧嘩売りたいなら商品並べろ」というリリックがあり、その部分だけで判断している方もいるかもしれないので、オレのわかる範囲で書いておくです。
 もともと関東近郊のニコラッパーたちは仲が良く、よくいっしょに遊んだりしていたようだ。ニコラップwikiの管理人でもあり今北3のCREWであるフサギコくんのバイト先のマクドナルドに何人かで押しかけ、ウンザリ顔の彼を4人ほどのニコラッパーたちが囲んだ写真を見せてもらったことがある。たしか2008年の秋頃だったと思う。
 そういった仲間内で何回か逢ったりmixiでのやりとりなどから、次第に兎くんの中ではしやんへの違和感が出てきて、個人間でのやりとりとして(つまりネットなどへの発表は控えるカタチで)はしやんへのDIS曲を作り、またはしやんもそれへのアンサーを返していたようだ。このことは両者の決別として「終わった」ことだったのだが、今回のアルバムにも収録されている『何も見えない』(8曲目)をニコニコに投稿したあたりからおかしな展開となってしまう。
 兎くん的にははしやんDIS曲から普遍的なテーマを抽出して作ったのがこの『何も見えない』という曲だったのだが、はしやんにすればさんざん自分をDISしてきた内容とほぼ同じリリックを混ぜているこの曲は、自分をDISした曲に他ならないと判断せざるを得ないものだった。
 かくしてはしやんは兎くんにアンサーを返す。終わってたはずのBEEFが蒸し返されたわけだ。


 どっちがどうというより、考え方の違いによる不幸な事故のようなものにオレには思える。ただまあ、事故を拡大するようにしているのはどっちかというと兎くんじゃね?とは言えるとは思う。
 実際この時期の他の曲では、そうとうにらっぷびとを意識したリリックを書いてもいる。例えば今回は収録されてない曲だけど、『井戸の底』にあるこんなリリック→「また鼬ごっこ作るらっぷが/ビートに乗っかって出るDis程度なら/とっくに済ませたシミュレーション/それなのにいちいち騒ぎ立てるな」。あるいはネタ曲としての『Hey, what's up!! 兎』(当然元ネタはらっぷびとの『Hey, What’s up!!』)。
 むろん、メジャーデビューしているらっぷびとは前提として遠い存在だったから、『鎌鼬』の際にはなんで兎くんを名指しで?とは思った。『鎌鼬』の発表は2009年6月末頃、はしやんと兎くんのBEEFはその数ヶ月も前の話になってしまう。
 また、『鎌鼬』については内容の意図も頭の悪いオレにはよくわからなかったし、ニコラップ関係者の多くが怒ってるのもよくわからなかった。わからないことだらけだったのはオレだけではなかったらしく、解読用としてらっぷびとはすぐに『Internet_no_rap』を出して、こちらは逆にすごくよくわかる内容だった。「金銭が絡む時点で挑む姿勢は変わるはず」というリリックが響く。『東のエデン』でもちょっと描かれていた起業してもニート意識が水を差す的なジレンマと同様の問題意識だと思うがどうだろう?
 でもらっぷびとの曲をきっかけに、またはしやんと兎くんの間でいろいろとあったようで、結果的には2009年9月頃のイベントでKISSしちゃう二人を見てニヤニヤしてしまうワケで。もちろんまわりが騒ぎ立ててムリヤリKISSってるワケだが、DISってるよりよっぽどピースな流れですよね! いや、知らんけどw


 で、もうひとつ。あはんれいでぃおについて。MC壁くんとのコラボ曲「乳房☆ブラスター」がきっかけになったんだろうけど、詳しいことは知らない。とにかく兎くんと壁くんがラジオを始めたのはこの曲からしばらくしてからだったと思う。それがあはんれいでぃおだった。
 それまでもニコラップ関係者によるネットラジオはいろいろあったが、いつ誰が始めるのか全くわからなかった。あはんれいでぃおが画期的だったのは、毎週金曜の夜には必ず放送が始まったことだった。このことで、毎週楽しみにするヘビーリスナーに加え、ここを経由してニコラップに新しいリスナーも増えた。
 また、水面下にいたTMやMCたちの評価も変わった。たとえばコメント自演で叩かれていたMCたちに正当な評価が与えられたし、一晩で仕上がるリミックスをTMたちが競い合うという、ネットならではの企画が大いに盛り上がったりした。
 兎くんのあはんでの役割は、マッドピエロ的なものだと思うが、その役割を担うことがガス抜きになって、ガチ曲に集中できるようになったんじゃないかと。
 おっと、こんな単純なことを言ってたら兎くんに鼻で笑われそうなので、さっさと曲紹介に移ろう。



1. intro
 イントロ。多彩なゲストの声ネタ入れまくり。


2. SHINKARON
 タイトル曲にして新曲。多彩なゲストの声ネt(ry
 この1〜2曲目でアルバムの挨拶状的なものになってる。TMはどちらもkerberosさん。欲を言えばもう1バースあっても良かったんじゃないかと思った。最近いろんなフロウを試している兎くんだけど、このフロウがオレは好きかな。


3. 臆病者でも誇大妄想をする
 ニコニコにうpした曲の再録ver、バースも増量。TMはHakobuNeさん。リリックの「現実逃避も逃げ切れば勝ち」や「世の中は多分口から出任せだけでも生きれる」などの耳にストンと入ってくるフレーズの配置が旨いと思う。入り口としてリリックの世界に入り易いからね。しかもそのリリックの世界すらも「誇大妄想」を言い切るあたりが兎くんのリリックだなあと思う。
 相当に生真面目で一途な男の子がせいいっぱい背伸びして、それを隠すために言い訳を重ねているんだけど、ようするに大人ぶった割り切りだったり照れ隠しだったり。だよね?


4. 惨事 feat.DJおちやめ,ODC
 わいせつな言葉の連打なんだけど、猥雑度ではおちやめの勝ちだと思う。すえた汗の臭いさえするようだ。いや、別に勝ち負け決める曲じゃねえけど!
 それにつけてもODC様のリリックはどうしてこんなに笑えるんだろうねー。入りの「お○こー」から爆笑しそうになる。


5. 鷺ノ宮(skit)
 ODC「500円で売ってんだー? ハハッ いい値段だねー」


6. 夜明け feat.MC壁 with CNG
 TWO FACEくんとのCREW"junk styla"改め"CNG"? "CNG"って何の略? まあそんなことはどーでもいいくらいカッコイイ曲。TMはkerberosさん。あはんれいでぃおのテーマ曲みたいなものと勝手に理解してますが何か?


7. Dear Bitch feat.佐藤裕也,ODC
 ニコラップで最近話題になってる佐藤裕也さんとのコラボ曲。TMはフダツキさん。マスタリングを変えてると言ってたから、ニコニコに上がってるヤツと比べるとイイんじゃないかな? そういえばビッチについてのリリックって、ニコニコじゃあんま見ないね(あたりまえか


8. 何も見えない
 経緯については前述のとおり。TMは吉沼さん。当時の兎くん曰く「ワックMCについての歌」。こちらは再録したとのこと。


9. 嘘 feat.SHIDO,ヤタガラス
 この曲もカッコイイな。TMは吉沼さん。3曲目のにも書いたとおり、背伸びが兎くんのリリックのポイントだと思う。この曲のリリックでいうと「誰か僕に嘘の無い世界の愛をください だが嘘すらも無ければ愛憎じゃない」という逆説をそっと混ぜるあたりがそれ。リリカルマダラーというよりリリカルポエマー。そのあたりのいわば「青さ」はむしろ女の子に受けるような気がするんだが。


10. シャレんなんない(skit)
 ODC「♪まんちょの浜辺に〜(ry」


11. 存在の証明
 8曲目の続きみたいな曲と言っていいだろう。この時期に集中してこういった曲を作ってた兎くんだけど、この曲には特に気合を入れてたように思う。ニコラップでの、否、ラッパーとしての「姿勢」や「矜持」を示した曲と言える。とか言っとく! こちらも再録したとのこと。TMは麻宮さん。


12. 明晰夢 feat.人面DC
 これはニコニコに上がってる時から人気の高い曲で、今回のアルバムのハイライトと言って良いと思う。コラボしてるDCさんがMixもしており、こちらはそのまま使っているとのこと。つまりニコニコに上がってるのと同じなワケだけど、オーディオCD音質で聴けるのが商品価値ってヤツ。
 兎くんのバースは11曲目の延長で語ってるので、この2曲続けて聴くとよりわかりやすいと思う。TMは変態☆紳士さん。


13. 螺旋
 「いつか日の目を見れたら」というフレーズが印象的で、含みを持たせて終わらせる的な良いエンディング。この曲ニコニコにも上がってたけど、今回収録にあたりリメイクしたとのこと。TMはHakobuNeさん。


14. outro
 自らのトラックを使ってのアウトロ。インスト。


15.隠しトラック?
 フリスタかと思ったらバースについてはリリック書いたって兎くんが言ってた。まあ隠しなんでお楽しみにってことで!