鄧麗君に夢中
あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくおねがいいたします。
今年はもうちょっとちゃんと更新するぞ。と思ったのでとりあえず元旦からがんばってみる。
もう去年になりますが、そういえばテレサ・テンってあんまり聴いてないな…ちょっと聴いてみよう!と何気なく思って音源を調べたら、あんまりにも膨大でこりゃすげえってなったんですよねー。
↑台湾のウィキペディア(たぶん)なんですけど、いやあ、ちゃんとまとめてくれていてありがたい。
契約してるレコード会社のレーベル名と年代、アルバムタイトルがばっちり載ってるんですよね。あとは曲名を載せてくれてたらなーって思ってさがしてみたら↓こんなファンサイトもありました。
http://teresa-teng.weebly.com/ ※ 開くと音楽なります注意!
上の60年代タブをクリックしていただくと、ほらね。ジャケがズラっと出てきたでしょ。そんで今度はジャケをクリックすると、曲名も発行年月日も! さらに曲名をクリックすると、今度は歌詞まで! 至れり尽くせりですよねー。気が利いてるすぎる。
さて、70年代頃になるとだいぶ「演歌」っぽいアレンジ曲が多くなってくるんですけど、60年代音源ではほぼ「ノー演歌」です。って言い切っちゃっていいのかな?いいよねー。
まあ「演歌」の定義やらなんやらメンドクサイ話はとりあえず置いといて、耳で聴いた時の「これって演歌じゃん…」というガッカリ感というか…ああ、このあたりの説明一番ムズカシイな…。
"なお、音楽理論的には、演歌の定義はない。楽曲のほとんどのリズムは、ロックである。"
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E6%AD%8C より
ウィキペディア先生によれば、「演歌」もロックなんだそうで、まあそりゃそうなんだけどさ、こう、聴いた時の感じ方のモンダイっていうか。うーん、そもそも音楽的な説明ってなると、コード進行すらまともにわかってないオレみたいな音痴マンにはそもそも説明できるわけなくね?みたいな。お手上げじゃん。さらに言えば「感じ方のモンダイ」とか言っちゃうのは我ながらバカの極み的なモノ言いだなーって思うます…。
でもその、定義なんてとてもムズカシくてできゃしませんが、聴いてて一発で「これって演歌じゃん…」っていうガッカリ感って、あるんだよなー。わかんねえかなー。できればわかってほしい! そのガッカリ感があったから、逆に今までぜんぜんまともにテレサ・テン音源を聴いてこなかったんですよね、自分の場合。
まあそのガッカリ感っていうのは、ウィキペディア先生ご指摘の「進歩的文化人」的価値観みたいなヤツがオレの中に無意識に蓄積した結果のアレなのかもしれないけれどもさあ、だからってとりあえずそう思っちゃうのはしょうがないじゃん。(と言いつつ『はだしのゲン』大好きっ子のオレ氏、わりと浪曲は聴くんだよなこれが)
そんなわけでテレサ・テン音源、70年代のはまだあんまり聴いてなくて、とりあえず60年代のをよく聴いています。いわゆる宇宙時代の鄧麗君(デン・リーチュン)。いやあ十代の頃のキラキラした声がホントにかわいい。当時のPOPSカバーや、マンボっぽい曲とかチャチャチャっぽい曲とかが大好き。バックバンドのちょっとヘタっぽい演奏も含めてとても素晴らしい。そう、ガレージロックってのに近い気がする。たぶん。
彼女の経歴をかんたんにまとめると、
・67年に台湾でレコードデビュー(14歳)
・71年頃に香港進出、主演映画『歌迷小姐』
・74年日本デビューするもデビュー盤はヒットせず
2曲目の演歌路線が当たったからその路線でいくことになっちゃった…
っていうものになるんですが、この『歌迷小姐』っていう映画がまたイイんですよ。歌手になるため都会にやってきた女の子が当時の人気イケメン男性歌手と知り合って…っていう少女マンガストーリーにMVをくっつけたっていう『プリパラ』映画並みの雑なアレなんですけど(『プリパリ』ははぶく)、だからこそイイんですよねー。
冒頭の、香港の街並み(たぶん)を背景にして朝日の中を歌いながら踊る彼女のなんともキラキラした煌きを魅せられると「これは…スタア…!!」としか言いようがなくなるっていうか、これが当時のアイカツかよ!っていうか。
まあそんなカンジでドハマりしてるオレ氏なんですが、これは何か評伝?伝記?みたいの読みたいと思って、アマゾンさんで古本じゃなく新刊を正規購入したのが、平野久美子さんの『テレサ・テンが見た夢』なんですよね。文庫版のほうです。そう、新しいほう。
96年版のハードカバーとどっちにしようか迷ったけど、とりあえず新しいほうを買ってみた。自分にはとても良い本だった。なんとか日本人に「華人社会とその中でのテレサ・テン」を説明しようと試みた本だと思うんだけど、自分的にはすうっと入ってきた。
アマゾンさんのレビューでは「とっちらかってる」だの、「ここはいらないんじゃないの」だの、いろいろ書かれていたのでそこがちょっと不安だったんだけど、読んだ後だとはっきりわかる。その悪評書いてる人たちって著者の想定する「華人社会を知らない日本人」をわかってないんだよなーって。そもそも華人社会自体が「とっちらかってる」のだから、それをそのまま書いてるこの本は逆説的に素晴らしいとも言える。
あと、ちょっと本筋から外れるけど、この本読んでてビックリしたのは70年代後半から80年代初頭の香港で日本ブームがあったって記述(P152)。日本資本のデパートが進出したことに起因するらしいのだけど、当時のファッションブティックでのBGMとしてユーミンやオフコースなどのニューミュージックが使われていたという。
となると今の世界的なCITYPOPリバイバルって、華人社会のそういう側面からのリバイバルっていう可能性もあるかもね。みたいなことをちょっと思いました。
彼女が最終的に作りたかったアルバム、世評では名盤『淡淡幽情』の続編みたいなものと言われているけど、ホントはワールドミュージック路線だったのでは?という指摘(P368)はとてもよくわかる。
誰か彼女のアカペラ抜いてワールドミュージック的なトラックと融合させたリミックスアルバムを作ってくれないかなーって期待してる。彼女の声はアンビエント・ハウスっぽいのと相性いいんじゃないかなーって個人的には思ってるので、そういう路線でも作ってもらえるとオレ得なのです。もちろんダブステップとかもおもしろいと思う。いろんなテレサ・テンが聴きたいのに、サウンドクラウドとかにあんまりないのホント残念。