アポストロフィーS

ワンワン!ワンワンワン!

『ネズナイカ』について調べてみた。

なんとなーくパルナス坊やを思い出して、なにげなーく調べてみたら、いつのまにか沼にハマっていた…。何を言ってるか(ry


そんなわけで6年ぶりにこのブログを更新します。6年ぶり…まるでオレWorld iz 3D…。


昔、関西にパルナスっていう洋菓子屋チェーンがあったのです。
キャッチコピーが「モスクワの味」で、キャラクターがパルナス坊や…だと勝手に思いこんでいたのですが、調べてみたら「パルちゃん」でした。「ピロちゃん」という子もいました。
さらに調べてみると、どちらも「ネズナイカ物語」に出てくる、らしい。
さらにさらに調べてみると、『ネズナイカ』というのはソ連の児童文学のようです。
しかも97年には新作アニメが作られ、著者の孫が続編を描いてたりして、今でも子供たちに大人気らしいんですよねー。へぇー。


もうこの段階になると、んじゃ読んでみるか…ってか読みたい!読ませて!!っていう状態になっていたワケです。沼。
で、出版物を調べてみたんですが、なーんとアマゾンでめっちゃ高値ついてるんすよね…。ハードカバーでもないコミックサイズの児童書が、13997円より。なんじゃこりゃ。


たぶん再版がむずかしいのは、↓このあたりの事情ゆえなのではないかと推察しますが、実際のところどうなんでしょ?

Q :ソ連時代にあった、「全ソ著作権センター」に代わるものは現在、存在するのか?

A :著作権のことはあまりよくわからないが、ロシアでも著作権についてのテキストなどは出版されている。また、万国出版条約には加盟している。「全ロ著作権センター」が引き継いでおり、独立した小国などでもここを通しているところもある。
ただ、ロシアではこんなジョークが有る。

ある男が、出版社のドアをたたき、出版社の社員に原稿を見せて「これを本にしたいんだ」と言う。
社員「あなたはこの企画のどんなお立場の方ですか?」男「作家だよ」社員「まあ、それはお気の毒です」

作家の権利問題はまだまだ深刻な段階である。

ロシア児童文学の現状より

質問?著作権について

ソビエト崩壊以前は全ソ著作権協会(ВАП)がソ連側の、日ソ著作権センターが日本側の窓口となっていた。ロシア側はロシア著作権協会(РАП)という組織が受け継いでいるが日本側には現在窓口となる組織がなく、翻訳などを希望する際は個々に申請するようである。

この件について質問されるとのことを事前に知らされていたアンジェラさんは著作権に関する一冊の本を読んでみたが、複雑で良く分からないということだった。

私はロシアの本を手に取る機会が多い仕事についているが、実際○C(コピーライト)表記がずらずらと並んでいる。まず著者、挿絵があれば画家、翻訳であれば翻訳者、再版であればその時々の出版社(再版度に出版社が変わることが多々ある)、やっと今回出版される際に関わる出版社、となる。この表示によって著作権が守られているのかということも疑問だ。
児童文学、絵本に親しむと、物語自体の魅力は大事だが、挿絵の魅力も大きな力の一つだということが分かる。しかしロシアでは挿絵画家については昔からかなり雑に扱われてきたそうである。今でもロシア人に「どんなロシアの挿絵画家がいるか」と尋ねれば、でてくる回答はビリビン、ヴァスネツォフ、チジコフくらいだろうという意見は非常に残念なことだと思った。

JBBY国際講演会 対談「ロシア児童文学の現状」に参加してより



とりあえず、現状出版されているものをまとめてみました↓

●1957(昭和32)年 発行
『ネズナイカ 16人のこびとのぼうけん』
西郷竹彦訳 宝文館(かもしか少年文庫)




●1958(昭和33)年 発行
『十六人の小人の冒険』
ノーソフ著・西郷竹彦訳 麥書房 ( 現むぎ書房 )・雨の日文庫


※関連ブログ:雨の日文庫 『十六人の小人の冒険』 ノーソフ著




●1962(昭和37)年 発行
『少年少女世界文学全集 34 ロシア編(5) 講談社』 収録
ネズナイカ
(ノーソフ作 福井研介訳)





●1970(昭和45)年 発行
『少年少女世界の名作文学 19 / ソビエト編5 世界民話伝説集 小学館』収録
ネズナイカ
 (ノーソフ=作/松谷さやか=訳/山本和夫=文/センバ太郎=絵)





●1975(昭和50)年 発行
『少年少女世界の名作〈34〉ソビエト編1 小学館 ワイドカラー版』収録
ネズナイカ
(作/ノーソフ、訳/松谷さやか 文/山本和夫 絵/坊奈緒子)





★1976(昭和51)年 発行
『ネズナイカのぼうけん』 福井研介訳 偕成社文庫

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ノーソフ
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●1978(昭和53)年 発行
『カラー名作 少年少女世界の文学 23 ソビエト編 2 小学館』収録
ネズナイカ
 (ノーソフ=作/松谷さやか=訳/山本和夫=文/センバ太郎=絵)




まあさっくりまとめると、翻訳しているのは3名いらっしゃいます。
西郷竹彦さん。福井研介さん。松谷さやかさん。


このうち、松谷さやかさんの訳は小学館の都合なんでしょうか、山本和夫さんという方が「文」担当となっております。
この山本和夫さんについてウィキペディア先生にきいてみたところ、「戦時中は多くの戦意高揚の作品を書いた。戦後しばらく沈黙、以後童文学に専念し」って方のようです。おやおや、まるで『はだしのゲン』に出てくる町内会長みたいってのが正直な印象。「『燃える湖』(1964年)で第13回小学館文学賞」らしいので、この時代に小学館と太いパイプがあったんだろうなあ、とゲスの勘繰り。
ついでに申し上げますと、小学館版は徹底してアレクセイ・ミハイロビッチ・ラープチェフさんによるオリジナル挿絵を使っていないので、パルナスのキャラ「パルちゃん」目当ての方は買わぬが吉。


今のところ決定版である偕成社文庫の福井研介さん版の翻訳ですらもう40年前のものなんですねえ。
かもしか少年文庫の西郷竹彦さん版だと59年前ですからね、そりゃ本も見つからないワケですよ。
おそらくこのお二方が翻訳に関わっているものはアレクセイ・ミハイロビッチ・ラープチェフさんによるオリジナル挿絵が使われている…ハズ。
『少年少女世界文学全集 34 ロシア編(5) 講談社』をポチってみたので、届いたら報告させてもらいます。